「銃を向けられた」女性議員への反応にもやもやする

戒厳令をしいた大統領の考えていることは分からない。大統領からしか見えない光景もあるのだろう。

日本のマスメディアの態度もよく分からない。隣国のオサが狂いだしたときに教えてくれる機能があると思っていたのだが、マスコミには見えない光景もあるのだろう。

 

そういうのはどうでも良い。気になるのは、

あの映像を観たインターネット野次馬の反応だ。

「兵役が無いから銃を奪うことの意味が分からないのだ」

分からない訳がないだろう。暴力装置に襲いかかることは命懸けの行為だ。誰だって知っている。日本に兵役義務はないが皆知っている筈であり、彼女もそうだろう。分かっていてやっているとみた方が良い。

危険を承知であえてやることは手放しで褒められたことではないが、天安門事件の戦車の前に立つ男も今回の彼女と同じ意味合いの行為でどちらかというと賞賛されている。そのような危険な抗議は嘲笑されるべき行為ではないはずだ。

 

とはいえ、その抗議が意義のある行為かというと微妙なことではある。既に周知の通り、実弾を込めていない銃の携帯から分かるように、軍人にやる気が見られない。彼ら自体が差し迫った危険ではなかったと言える(当時それを気付けたかどうかは不明だが)。とはいえ、あのような意味の分からない指示は無視すべきかと言ったらそれはそれで軍の統制を否定することになり、あまり適切でもない。意味の分からない指示に従うことが大事な場面はある。

 

もし彼女を非難するのであれば、このような有事の際に(実際には殺されないことを分かっていて)パフォーマンスとしてあのような行動を取ったという迷惑さに焦点が向けられるべきだろうと思うが、そのような論点はまだ確認できていない。